決算⑩〜あとがき〜
最後に四半期決算とは違う、年度決算特有の事項に触れます。
まず、年度決算は長丁場です。なんだかんだで3か月間引っ張られます。
つまり、
3か月間も前の期のことをやっているんです。
そして、
やっと終わったと思ったら、すぐに第1四半期決算がやってきます。
①まえがき
②検討事項
③固定資産
④消費税等
⑤法人税等
⑥税効果会計
⑦連結決算
⑧キャッシュ・フロー計算書
⑨開示書類
⑩あとがき←イマココ
年次決算特有といえば、税務申告があることです。
原則は決算日から2か月ですが、上場会社は法人税等の申告期限の延長の特例の適用を受けています。上場会社でなくても、定款で「株主総会を3か月以内に開く」とすれば、申告期限の延長の特例の適用が受けられます。
これには注意点が2つ。
- 納付の期限は延長されません。
- 消費税等は延長はありません。
個別に説明します。
1.納付の期限は延長されません。
申告だけ3か月以内に1か月延長され、納付は通常通り2か月以内のままです。
これを見込納付といいます。納付は2か月以内にするということは、税額をある程度確定させなければなりません。もちろん、決算である程度は計算していますが、時間の都合で簡易な処理をしていたり、あとで間違いに気づいたりしていたところは直します。
できれば確定申告の税額と見込納付を一致させておきたいですね。
納付の1か月後、確定申告するときに間違いに気づいたらどうするか?
確定申告時に足りなければ追加で納付、多ければ申告すれば還付されます。
じゃあ適当に納付しとけばいい?
見込納付が少なければ利子税もかかりますし、何かと面倒なんです。ちょっとだけ間違っていて100円納付とか、100円還付とかが何件もあると大変です。10年ほど前ですが、100円の還付が小切手で送られてきたことがあります。これも手間でした。
2.消費税は延長はありません。
初心者のときにやらかしたことがあります。
「すべて申告は3か月以内にすればよい」と勘違い
していて、消費税等も無申告で放置していました。
法人税等の申告書を作りながら、調べ物をしているときに気づいて青ざめました。
幸いにも消費税等が還付だったので、ペナルティもありませんでした。ほんと、命拾いしましたよ。
決算短信が終わったら、さっさと消費税の申告と納付の準備をしましょう。
そのほかに、事業所税というのがあります。市によってあったりなかったりなのですが、都市部はだいたいあります。
これも住民税と同様に申告後に問い合わせが来ることが多いです。税務署や自治体からの問い合わせ対応って、地味に疲れますが、これも経験です。慣れればスムーズに対応できるようになります。
もう一つ、事前に確認しておきたいことがあります。
確定申告は電子申告で行うと思います。特に社内で電子申告を行っている場合ですが、
電子申告に必要な電子証明書の有効期限を確認しておいてください。
ギリギリで気づいても発行が間に合いませんので要注意です。
【まとめ】
社外の会計士や税理士などとは異なり、経理部門で決算を担当する人はオールラウンダーでなければなりません。
100点を狙わなくてもいいので、必ず合格点を取りに行くこと。
一つ一つの業務すべてで合格点を取らなければなりません。
得意なところで点を稼いでトータルで合格、というのは実務ではありません。
とにかく、
全体のバランスを意識すること
が必要です。
ということで決算の全体感は伝わりましたでしょうか?言葉足らずで不正確な記述になっているところも多々あるかと思いますが、ご了承ください。
次は何シリーズにしよっかな〜